• No : 320
  • 公開日時 : 2017/08/08 15:00
  • 更新日時 : 2018/01/24 12:25
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保有する株式の上場廃止が決定しました。上場廃止日までに売却しなかった場合、他の株式等の譲渡益と損益通算ができますか。

回答

株券電子化以降、「みなし譲渡損の特例」は原則として適用されないこととなりましたが、以下の場合にはその適用を受けることができます。
1. 「無価値化事実」の発生の日まで「特定管理口座」でお預りを管理している場合は、従来どおり「みなし譲渡損の特例」が適用されます。具体的には、次の事例が該当します。
(1).上場廃止前に破産手続開始の決定がされた場合
注) 破産手続開始の決定がされた日以前に「特定口座」に受入れた株式に限る。
(2).証券保管振替(ほふり)が定める条件をすべて満たし、「無価値化事実」の発生の日までほふりでの取扱いが継続された場合

<ほふりが定める条件とは>
・ 上場廃止の理由が会社の解散(会社の合併による解散を除く)、民事再生手続開始もしくは会社更生手続開始の申立ての場合
・ 発行会社がほふりの定める業務処理の方法に従うことを再度確認していること
・ 発行会社と指定株主名簿管理人との契約が継続されていること
・ 発行者がほふりの定める手数料を支払うこと

上場廃止後も上記条件を満たせばほふりでの取扱いが継続しますが、上場廃止決定時点では上記条件を充足するかは不明であり、また、それが判明する時期も不明であることに留意する必要があります。
しかし、一般的には民事再生手続や会社更生手続の開始の申立てを行った上場企業が、その後継続してほふりに対し上記手数料を支払うことは困難と考えられることから、ほふりでの取扱いが継続されるのは稀なケースとなると考えられます。

2. 「価値喪失株式に係る証明書」の交付
「みなし譲渡損の特例」が適用される場合は、お客さまに「価値喪失株式に係る証明書」を交付します。お客さまが当該特例の適用を受けるには、当該証明書を添付して確定申告する必要があります。なお、「価値喪失株式に係る証明書」は、弊社で作成のうえ、お客さま宛に郵送します。